
米Elastic社は、米Amazon Web Servicesとの
「Elasticsearch」に関する商標問題の訴訟が解決したと発表しました。
今後”Elasticsearch”サービスと名乗るのは、Elastic社が提供する「Elastic Cloud」のみになります。
「Elastic Cloudとは?」
Elastic社が「AWS」や「Microsoft Azure」「Google Cloud」などの
パブリッククラウド上でエンタープライズサーチの機能などを
マネージドサービスとして提供するサービス。
AWSはオープンソースの”Elasticsearch”を用いたマネージドサービス
「Amazon Elasticsearch Service」を提供していましたが、
今後は”Elasticsearch”を名乗ることはできなくなりました。
(現在は「Amazon OpenSearch Service」に名称変更済み)
「Elasticsearch」
ログ解析による運用監視やセキュリティインシデントの発見、データ分析などに使われている、
この分野でもっとも人気のあるソフトウェアの1つ。
・Amazon OpenSearch Serviceについて↓

所感
AWSがいつの間にやらサービス名変えたと思ったら、訴訟案件だったんですね。
Elastic社のCEOは
「オープンソースの商標を軽視している💢」
としてAWSを名指しで批判していたようです。
こういった商標関係はビジネス上どこでも起こりうるかと思いますが、
AWSのような影響力をもつ会社が実質敗訴というのはなかなかびっくりですな。
Elastic社について
ElasticはNY市場に上場しています。ティッカー:ESTC
株価としては80ドルほどです。
2012年設立ということでまだ10年ほどの若い会社です。
ざっくり理解すると、リアルタイム検索や分析ができるソフトウェアを提供しています。
提供先は有名どころでいうと、
eBay、Wikipedia、Yelp、Uber、Lyft、Tinder、およびNetflixということで
知ってるところばかりです。
Endgame社買収などM&Aにも前向きなようですね。
AWSとの訴訟などからわかるようにこういったでかい企業と同じ土俵で戦わないといけません。
一方、分析ツールは現代ビジネスでは必須のようにも感じます。
よりビジネスを伸ばしていくためにも分析・モニタリングは重要です。
とはいえこういったSaaS提供者は後続でも現れますし、
より使いやすい費用対効果の高いサービスに顧客は流れますから、
どのように顧客を繋ぎ止めつつシェアを伸ばせるかでしょう。
現状と見通し
現状は順調なのかなという印象です。
実績として今期は円換算で売上高は通期600億円越え。前年比で4割増です。
利益面で見ると赤字ですが、
まだ設立して10年目ということを考えると「利益」ではなく「成長投資」優先でしょう。
来期も売上高は19%成長を見込んでいますし、
23年4月期には売上高が1000億円に到達する見込みです。
原価率が30%に満たないので粗利率も70%越えを維持しています。
赤字ですのでPERでは判断できませんが、株価売上高倍率は12倍ほどです。
同業というわけではないですが、
・クラウドストライクが株価売上高倍率43倍
・アファームが13倍
・ユニティーが26倍
・アサナが51倍
ということで、ソフトウェア企業の中では
これといって株価が高いというわけではないように思います。
ちなみにAmazonはこの指標では実績ベースで3倍です・・・。(売上がデカすぎる)
4698億ドルですからね、年間で。どゆこと。
個人的まとめ
Amazonはさておき、Elasticの投資妙味はあると思います。
売上の成長率は次第に小さくなると思いますが、
営業CFが黒字になっているなど利益が出る体制になってきているのではという期待があります。
AWSやAzureなどクラウドの浸透が日本でもより鮮明になってきています。
Elasticもクラウド上で提供していますので、新規顧客の獲得も引き続き期待できます。
株価を見ると高値からは半値以下になっていますが、、、上場してまだ日が浅いです。
訴訟もありましたので致し方ないでしょう。
自己資本比率も50%近くありますので財務も健全に見えます。
財務と収益性、2点からみて投資妙味はありでは?とみています。
判断に迷うのは割安性ですね。ここは要検討です。
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